photo credit: The Stethoscope via photopin (license)

【医師に聞いた】0歳から100歳を診る「家庭医」ってどんな医者?

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一つの家族に一人の医者。そんな未来も遠くないかもしれません。生後3ヶ月の乳幼児から高齢者までのあらゆる健康問題を扱う、家庭医療専門医(家庭医)

2025年に超高齢化社会をむかえる、日本の地域医療を支える中心としては必要不可欠な存在ですが、まだまだ一般的には知られていません。家庭医・田中氏へのインタビューを交えながら、家庭医の役割をご紹介します。

 

イギリスの医療インフラ「地域を診る医師」

−まず、家庭医の役割を教えてください。

家庭医・田中氏家庭医制度が普及しているイギリスでは、「この地域は必ず最初にこの家庭医にかかること」という仕組みになっています。患者の年齢を問わず、あらゆる健康問題を診察し、適切な医療機関につなげる役目を担います。家庭医の紹介書がなければ、病院で専門的な治療を受けることができません。

例えば、「父が階段から転んで怪我をしたんだけど、これは◯◯整形外科かな、それともいつも通ってる▲▲内科?とりあえず大きな◆◆病院に朝一番に予約を取りに行った方がよい・・・?」

こんなとき、どうしますか?日本の医療においては、まだまだ自分で判断し、受診するケースがほとんどかもしれませんが、家庭医は一番最初に相談に乗ってもらえる相手なんです。

 

家族みんなの健康相談係り

−では、「かかりつけのお医者さん」と「家庭医」との違いは何でしょうか?

家庭医・田中氏街中にある内科・皮膚科等のいわゆる「かかりつけのお医者さん」と「家庭医」との違いは、「年齢・病気の部位問わず総合的な知識がある」ことですね。

家庭医は、生後3ヶ月の赤ちゃんからお年寄りまで、どんな症状であっても診察します。専門の先生に診てもらったほうがいい場合は医療機関を紹介しますし、逆に、「これは様子見てもらっていいですよ」という場合もあります。介護が必要な場合は専門家と連携して、本人の希望通りの生活が続けられるよう計画をたてていきます。

家でおじいちゃんの巻き爪を処置して皮膚にステロイドの塗り薬を出し、肺炎の治療をして。だんだん体の動きが悪くなってきた高齢のおばあちゃんが家でリハビリを受けられるように手配したり、次にお孫さん、ママさん、というように。

診療を家族全員にできると、他の家族を診ているときに、「最近、おじいちゃんどうですか」って、色んな人から多角的に情報をとれるようになるんです。そうすることで家族皆を診ることができます

 

病気を予防するための「一言」

−家族にとって心強い存在ですね。他に家庭医の特徴的なものはなんでしょうか?

家庭医・田中氏家庭医は、予防医療に力を入れることも特徴です。

例えば先ほどの例だと、おじいちゃんを診たあとに、ママさんを診たりします。育児真っ最中のママさんは、自分のことは二の次になってしまっていることが多いので、「健康診断行っていますか?」など声をかけたり。企業検診で診る20代くらいの女性には、必ず、「子宮けい癌って知っていますか?検査を定期的に受けてくださいね」と、常に聞くようにしています。社会人の生活習慣病を防ぐために、「そろそろ禁煙していきませんか?」と切り出し、一緒に治療を考えていきます。

日本の医療は、治療に対してお金を出してくれますが、予防接種以外、健康維持や予防医療に対してはお金がほとんどでません。日本の医療の仕組み自体が、そもそも病気になってから動くものでした。病気を防ぐには予防するための行動を促していくことが大切なんです。

 

家庭医療専門医(家庭医)は、2017年より「総合医療専門医」となり今後も注目されてくるでしょう。先ずは身の回りの地域に、家庭医がいる診療所などを探してみることから始めてみませんか?

 

家庭医田中氏

 

《参照》
家庭医療専門医 ~あなたにとって何でも相談できる身近な医師を 日本プライマリ・ケア連合学会
http://www.primary-care.or.jp/public/primarycare_iryo.pdf 

イギリスの家庭医制度 一 圓光彌
http://www.kansai-u.ac.jp/Keiseiken/publication/seminar/asset/seminar12/s196_2.pdf