「未来のために今を変える」65歳以上向けの部屋探しサイト「R65不動産」が目指す自分らしい暮らし方 Vol.2

「未来のために今を変える」65歳以上向けの部屋探しサイト「R65不動産」が目指す自分らしい暮らし方 Vol.2

R65不動産トップ

65」というと、皆さんはどんな想像をしますか?

65歳は、仕事の面では定年退職の年齢となり、同時に「高齢者」の仲間入りをします。でも、今の65歳の方を目の前にすると、すごく若い。「お元気そう」とかじゃなく、普通に元気。

しかし、「定年退職もしたし、新たな土地で余生を過ごすか」などと考え賃貸住宅を借りようとすると、まだまだ若いと思っていたとしても「65歳」の壁が立ちはだかり、家を借りにくいという現実があるのです。

 

そんな現状を変えるべく立ち上がったのが「R65不動産」という、65歳以上の人のためのお部屋探しサイトを運営している、まだ26歳と若い山本遼さん。

「現状を変える」というより「わがままな自分の未来のために」運営していると言う山本さんですが、荻窪家族レジデンスの一角をお借りしつ、その言葉の奥に隠された意味をインタビューを通して紐解き、3回にわけてお届けします。

第2回目は、地域コミュニティのあり方について。

仕組みを整えるだけで現状ががらりと変わる

──私達のような20〜30代の若い人は好きな部屋を借りられるのに、なぜか65歳以上になっただけで好きな部屋が選べなくなるんですよね。

 

IMG_3235 のコピー

山本:そうですね。でもそれって、貸せる部屋を探していない不動産屋の怠慢だと思うんです。不動産屋は本当のサービスを提供できていないということだし、自分の仕事をしてないんじゃないかって思います。

 

──単身の高齢者にも部屋を貸さないと、やっていけない地域ってありそうです。

 

山本:あります。あと「もし亡くなってしまったら事故物件になるでしょ?」とよく言われるんですけど、それって誤解されていることなんです。事故物件になる理由は一週間とかひどい場合一ヶ月放置されてしまうからなんです。だから、リスクを回避する仕組みをきちんと作って放置されなければいいんだと思ったんです。

例えば、センサーを付けたり保険を付けるなどの初期投資をすること。センサーだって外すのが高額だったり、跡が残ることもないんです。高齢者に部屋を貸す時も「若い人よりも突然倒れたりというリスクがあるので、リスクを回避するためにかけた費用の分だけ家賃を上げさせて下さい」と言えばいいだけだと思うんです。

 

──その仕組みっていうのは、不動産屋が敷くべき仕組みですか?

 

山本:そうですね。不動産屋が面倒臭いと思っているコストや手間は、一回どこかで整えてしまえばその後はそんなに大変じゃないんです。

 

──そして、65歳以上でも貸せる部屋のストックも作るということですよね。

 

山本:そうです。あとは、オーナーにも提案できるアイディアを、僕の中で持っておくことも大事だとは思っています。

 

──車の保険って、若い人ほど事故を起こすリスクが高いから値段が高いじゃないですか。その家版で、「R65を通して部屋を借りるならこの保険に入らなきゃいけない」っていう、例えば高齢者向けの「R65オプション保険」を作ってうまく組める保険屋が出てきたらいいですよね。

 

山本:良いかもしれないです。今の時点では、民間で孤独死向けの保険をオーナーには紹介しています。代理店ではないので仲介料はもらっておらず、ちゃんとした暮らしをするための準備として紹介しているだけではありますが。でも、「仕組みを作ったらいい」にたどり着けたのは、1年間やってみてやっとという感じです。

地域コミュニティの復活はご近所付き合いが鍵?

──仕組みで解決できる部分もあると思いますが、最近ではコミュニティも活発で、ニュー家族的な繋がりをうまく築けると心地良い社会が実現するのではという動きをしてる人が増え、原点回帰している印象があります。一方、お隣さんにも挨拶しないのが良いっていう考えの人もいると思いますが、それによる孤立もありますよね。

 

山本:大人になっても付き合う友達って、学生時代の友達じゃないですか。でも僕は、社会人2年目で東京に出て来たので、友達はほとんど地元にいるんですよ。元々いた不動産業は土日も働き夜も遅いので友達を作る時間もなく、このままいけばどんどん孤立していくんだろうなとは思いました。

 

──U26プロジェクトは、大規模マンションをフィールドに、26歳以下の世代がマンションコミュニティをつくるっていう試みをしていますよね?

■U26プロジェクト
26歳以下の世代がすまいの選択を意識しはじめる2020年ころにより顕在化する、すまいとくらしに関する不安や課題に対し、人と人のつながりやコミュニティについて考え、心から住みたいと思えるマンションを提案している。

NeighborsNext U26 Project http://u26.jp

 

山本:そうです。大規模マンションのコミュニティづくりのお手伝いをしていますね。 コミュニティといっても、人が集まれば人が繋がるかというとそうではなくて、同じ目的を目指したり共有することで繋がっていくんです。だから、居心地の良い空間を作るっていうのはハード面、ソフト面でも大事だと思います。

 

──昔のバブリーな女の人は、六本木や恵比寿界隈でごはんを食べるのが当たり前で、でも「赤提灯の店でビール飲んでる」っていう「はずし」の表現方法があったと思うんです。

 

山本:はい(笑)

 

──でも最近は逆で、住んでいる近くの飲み屋で常連と仲良くなって、そういう場が楽しいと思う若者が増えてるんじゃないか説。はずしじゃなく、ど直球にそれを楽んでいて、世代を超えた繋がりがそこで生まれる。ちょっとスタイルが違いますけど、昔でいうご近所付き合いですよね。

 

山本:僕今26歳なんですよ。26歳って就職活動の時「失われた20年」って言われた時期がすっぽり入った世代で、僕らの20年間はなんだったんだって感じなんですけど。バブリーな世代のことはどうしてもわからないんですよね。頑張って生きていてもずっと不景気で、最近景気が上がってきたとか言われてるけど、お金の曖昧さや不安定さ、信用のなさをすごい肌で感じています。

■失われた20年
経済の低迷が約20年以上の長期にわたる期間を指す。 日本における「失われた20年」は、日本経済が安定成長期終焉後である1991年(平成3年)2月から約20年以上にわたり低迷した期間を指す言葉。

結局何が一番楽しいのか、真実なのかを考えると、実はご近所付き合いの中に正解があるんじゃないかと思うんです。しかも、ご近所付き合いはSNSの普及により最近は選べるようになってきた。mixiの同じコミュニティの人で集まってオフ会をすることができる世の中を、豊かで心地良いと感じるのかなとは思いますね。

 

──ご近所っていわゆる物理的な距離感もありますが、mixiとかfacebookグループとかSNSのハッシュタグなど、アンテナのベクトルが向く方向の距離感っていう近さですよね。

 

山本血の「血縁」から、土地の縁の「地縁」になって、最近は「知縁」がすごい流行ってますよね。僕らが若いからツールを使うというよりも、心地良いから流行っているんじゃないかとは思ってはいます。

 

──ツールがそれを後押ししている感じはありますよね。

 

山本:昔は「行った先で何をする」っていうのが旅行の醍醐味だったと思うんですけど、最近はそれにプラスして「そこに誰がいるから行く」というのもあると思います。

 

──自分が興味のある領域の中では、土地に縛られない移動や拠点をいくつか持つというのは活発になるかもしれないですね。ブラッドの「血」と土地の「地」を活かしながら「知」る縁で動いていくような。

 

山本:たぶん、全部が0になることってほとんどないですよね。その割合が違うだけだったり、バランスをうまくとったりする人はいると思うんですけど。

 

──転換するっていうよりは、シフトしたり変化していく流動的な中で、比重が重くなるのかもしれません。

自立多縁の暮らし──荻窪家族レジデンス

IMG_3230 のコピー

 

山本:ツールは出てきたものの、65歳以上の方ってまだまだ知る縁が弱い。遠くまで出かけられないっていう要因もありますが、知人の縁がどんどん衰えていくんです。だから、荻窪家族レジデンスは面白いですよね。土地の縁もありつつ、知る縁で引っ越してきて、土地の縁になるっていうことなので。好きな人と一緒に住める心地良いコミュニティに箱をあてこめるってすごい理想ですよね。

 

──「障害は環境が作る」ってよく言うじゃないですか。歳をとらせるのも、認知症を感じさせるのも環境要因が大きいと。R65不動産が目指す社会やまちづくりは、それに賛同したオーナーと一緒に作っていけることがたくさんあるだろうと思ったんです。荻窪家族レジデンスは、そういうもののひとつと捉えればいいですか?

 

山本:僕は設計段階から関わったわけではなく、コンセプトにすごく共感して関わるようになったんですけど、R65としては二方向あると思っています。まず、物件の数を増やすのが横、こういった地域に開かれた物件などの事例を作っていくのが縦です。

ここのオーナーさんはすごく高齢化社会に対して理解があって、力を入れたから作れたっていうことはあります。だから、色んな人がすぐに同じようなことができるかっていうとそうではないので、現時点では「センサー入れます」っていう横展開をしている段階です。でも、荻窪家族レジデンスみたいな事例がもっとできたらとは思っています。

■荻窪家族レジデンス
コミュニティースペースを併設した賃貸住宅。 住む人、使う人と一緒に考え、つくっていく暮らし。 それぞれの暮らしが、地域の中で大きな家族のようにふれあう、 古くて新しいあたりまえで自立多縁の暮らしかたの提案をしています。

荻窪家族レジデンス http://www.ogikubokazoku.org

 

──そうですよね。荻窪レジデンスみたいな場所って、行政的にも増やす試みはしていますか?

 

山本:今、行政が力を入れているのは、お金がかかる有料老人ホームを減らしたいからという理由で、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)を増やしていますね。結局、有料老人ホームのような雰囲気で入居している高齢者は多いんですけど。でも、荻窪レジデンスみたいなものを作りたいっていうオーナーもいますよ。

 

──介護保険内の特養や老健ってパンクしてるじゃないですか。でもそこまでの助けは必要じゃないし、有料に入るほどでもない人にサ高住がちょうどいいと思って増やそうとしてるとは思うんですよ。でも今後暮らしが多様化すると、サ高住という枠組みだけでは行政が思うまちづくりなんてできないのではと思います。すると結局、高齢者に寛容なオーナーを奨励する流れになるのではと思ったんです。

 

山本:それは今、国交省で空き家問題と、厚労省、福祉の方で頑張って取り組み事例を作ってる所なんです。実は、去年からそういう人達に差別しないでくださいねみたいなことはやってるんですけど、オーナーのボランタリーな精神をくすぐっていることがすごく多くて。批判するわけじゃないですが、ちゃんと因数分解してアプローチすれば、もっと増えるんじゃないかなとは思っています。

 

第3回は、R65不動産が目指す未来について

 

R65不動産|65歳からのお部屋探しサイト

http://r65.info