シリーズ #認知症との出会い方「知ることは前に進むこと」

シリーズ #認知症との出会い方「知ることは前に進むこと」

あなたと、認知症との出会い方はどんなものでしたか?

祖父母や親族の介護、介護のマンガやドラマ、それとも、ニュースで何となく聞いたことがあるくらい、など。人によって、認知症を知るきっかけは様々だと思います。

#認知症との出会い方、とあえて表現することで、出会った先に、自分がどんなことをできるのかを、あなたと共に考えていきたいと思います。

”勉強”ではなく暮らしの知恵を

前回ご紹介した、シリーズ #認知症との出会い方 「この先何ができるだろうか?」。7月も豊島区内にある、福祉・世代をつなぐ場所「長崎二丁目家庭科室」を会場にして、地域の小学生の親子を対象にした、認知症サポーター講座が開催された様子から、#認知症との出会い方 を考えていきたいと思います。(※1)

西武池袋線・椎名町駅から徒歩5分、長崎二丁目家庭科室

小学生を含むお子さんが9名が参加された今回。小上がりの畳でプロジェクターの前にたって影絵遊びが早速始まっていました。子どもたちもどんなことが始まるのか、興味津々の様子です。

講座講師の1人、看護師で認知症ケア専門士の嶌田さんとともに、「手のひらを太陽に」の歌詞を一部変え、
”年を重ねることは特別なことじゃないよ”というメッセージを込めて会場内みな歌を歌うところから始まりました。

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歌で参加された方々の表情もぐっと和らぎました

認知症を学ぶ、というお勉強ではなく、あくまで暮らす上での知恵として、堅苦しくない時間が始まります。

耳で、目で、手で

看護師で認知症ケア専門士の嶌田さんの自作のテキストで、マンガ形式で認知症の”謎解き”が始まりました。認知症は脳の病気であること、認知症であることの特徴、予防できることがあること・・・。

もう1人の講座講師である、ケアマネジャーの伊藤さんが映した脳みその写真に、思わずみな釘付けに。

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壁に映し出された写真に驚いた子どもたち

「穴がちっちゃい!」
「こっちの方がすきまだらけ」
「これとこれが違うよね」

内容全てを理解していなくても、写真の違いや、印象に残った言葉と言葉をつないで、子どもたちなりに認知症が何なのかを、少しずつ理解していっているようです。

「ものを忘れちゃうっていうけど、じゃぁいっぱいいっぱい覚えて忘れないようにしたらどうですか?」の質問も。

「ものを忘れちゃうっていうけど、じゃぁいっぱいいっぱい覚えて忘れないようにしたらどうですか?」の質問も。

知ることは前に進むこと

子ども向けに噛み砕いた表現のパートの後は、大人向けに認知症の症状の詳しい内容や、認知症の方への対応、そして家族が認知症になったときの、自分自身の気持ちの変化についても話がありました。

講師のケアマネジャーの伊藤さんも家族が認知症になった時の専門職ゆえの葛藤を具体的なエピソードとともに参加者に語りかけます。

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介護職ならではの苦労を語る伊藤さん

「私はもうすぐで還暦になる年齢です。父親が認知症になり、私のことを、お前誰だ?と言うんですね。ですが、父親自身は自分が40歳前後だと思い込んでいる。そうすると、父親が考えている自分の息子は、15~6歳のはず。還暦に近い私をみて、お前誰だ?なんて、なって当然なんですよね。ところが、これを受け入れるのが非常に難しい。自分が介護の仕事をしていたからこそ、余計に受け入れることができなかったんです。まさか自分の父親が認知症になるなんて、と。」

今回講座に参加された方の多くが、ダブルケア真っ最中の方。子育ての忙しさゆえに、一度も認知症について知る機会もなく、「なぜこうなってしまうのだろうか」という誰にも相談できない葛藤を抱えていたといいます。

「こうして知識を得ることで、なんだかすごく冷静になっている自分がいて。認知症の家族にも、これから少しは冷静になれるような気がします。」

「やっぱり知らなかったことが多くて。わかっていてもなぜなんだろうと思ってしまうことも多くて。自分の中で一本線がつながった気がしています。」

認知症の本人が暮らしやすい社会になるためには、まずは周囲が理解し、症状に合わせた支え方ができるようになることがとても必要とされています。

家族の認知症に出会ったとき、なんとなく頭で考えるよりも、まずは知ること。そして語りあうこと。

そこから新しい家族との向きあい方が、見えてくるのかもしれません。

 

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講座終了後、認知症サポーターのマスコット、オリジナルロバ隊長づくりに挑戦。詳しくは子ども家庭科教室 korinco home をご覧下さい

 

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こどもたちが作ったロバ隊長たち。子ども達が大切そうに持ち帰る姿がありました。


(※1) Yokrasの運営元、(株)ReDo は、豊島区にて福祉・世代をつなぐ場所として、「長崎二丁目家庭科室」を運営しています。豊島区高齢者福祉課 介護予防・認知症対策グループでは、企業などへの出張を除き、区内にある公設の場所で講座を行なうことが多く、今回のように民間の会場を借りて行なうことはとても珍しい開催となりました。6月の開催に続き2回目の開催となります。