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【老い方は自分で決める国・デンマーク便り】デンマーク人はこうして年を重ねる Vol.4

 

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園舎は140年前の建物・筆者撮影

【老い方は自分で決める国・デンマーク便り】では、5つの様々な切り口で読み解くコラムを連載します。日本とデンマークの高齢者を巡る事情について比較をしながら、高齢者の暮らしをよくするためには何が必要かを考えていきませんか。

 

第4弾は、「デンマーク人の教育と多様性」

幼児と教育者の関係性、障がいや性別の有無をどのようにデンマーク社会が捉えているのかを、一緒にみていきましょう。

 

【老い方は自分で決める国・デンマーク便り】
■Vol.1 先回りしない介護の考え方とは
■Vol.2 光が射す高齢者が住む場所
■Vol.3 高福祉の要・高齢者委員会制度とは

 

教育者と子どもは対等

コペンハーゲンから電車とバス、タクシーを乗り継ぎ約1時間の距離・ロヴェールにある森のようちえんを訪ねました。

森のようちえんとは、自然環境を利用した幼児教育や子育て支援活動のことで、1950年代中頃にデンマークで「子どもたちに幼い頃から自然と触れ合う機会を与え、自然の中でのびのびと遊ばせたい」と思った一人の母親が、自分の子どもたちを連れて毎日森に出かけたのが始まりといわれています。

 

光が射す高齢者が住む場所 でもご紹介しましたが、日光を浴びることはデンマーク人にとっては大切な生活習慣のひとつです。

多くの幼児教育の現場では、幼少期から光を生活に取り入れまる。子どもたちは、日中のほとんどを外で過ごす様子が多くみられます。

 

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4歳児と教師がともに昼食をとる様子。写真提供:矢野拓洋

 

この写真の椅子をみてください。子どもは教師と同じ椅子の高さに座り、目線を同じにして生活を送ります。

この椅子の高さに象徴されるように子どもの意見は大人と同等に扱われ、話し合いを行なうのです。

 

公共施設は誰にとっても利用しやすい

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階段の横にはボタン式のエレベーターが必ず設置されている(ルイジアナ美術館)・筆者撮影

 

1958年に建てられたルイジアナ美術館の2つの棟を行き来する館内には、5段の階段であっても、必ず階段横にエレベーターが設置されています

この写真右にあるエレベーターは、ボタン操作で簡単に動かすことができます。

 

また、首の座っていない子ども用のベビーカーから、ある程度歩ける子ども用のベビーカーまで、5種類以上のベビーカーがあり、借りることができます。

 

高福祉の要・高齢者委員会制度とはでもご紹介した「高齢者委員会」と同じように、障がいを持つ人たちの声を集め公共機関や政策への提言を行なう組織もあり、誰にとっても生活しやすい環境づくりを進めている国でもあるのです。

 

父親がいる光景が当たり前の公園

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母親よりも父親の姿が多い公園の様子(コペンハーゲン市内)・筆者撮影

 

デンマークの産休育休制度では、母親には産前4週および産後14週の休業、そして父親には産後2週間連続の休業が保障されています。それに加えて、32週間(9ヶ月)の休業が保障されており、この32週は母親と父親で分け合って取得することができます。

 

また、週の法定労働時間が37時間と決まっており、午後4時に仕事を終える父親・母親の多いデンマークでは、夕方に親子で公園で遊ぶ姿がたくさんみられます。

男性は仕事、女性は子育てという性別的役割分担の意識はほとんどなく、夫婦や地域全体で協力しあって子育てをします。

 

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集合アパートメントの中庭にはBBQセットや子どもから大人までくつろげる場所も・筆者撮影

 

高校を卒業すると親元を離れることが一般的で、親元を離れたあとに親の世話が理由で同居する事はほとんどないというデンマーク。

介護が必要になっても、24時間の在宅介護制度を利用するか、施設に入るかを本人が決めます

( 詳しくは、 先回りしない介護の考え方とは Vol.1」を参照ください。)

 

子どもと教師が対等だという考え方や、性別や障がいの壁をどんどん取り払っていくデンマーク。みなさんはどう感じましたか?

 

次回は最終回。デンマークのシニアが学び直せる場所・フォルケホイスコーレについてご紹介します。

 

 

《施設紹介》

森のようちえん / Udflytterbørnehaven Bøgely
http://boegely-raadvad.dk/

ルイジアナ美術館 / Louisiana Museum of Modern Art
http://www.louisiana.dk/

 

《参照》

デンマーク王国オフィシャルサイト
http://denmark.dk/